4分間のピアニスト four minutes

無実の罪で囚われた天才ピアニストが自分の才能を信じてくれる女性教師との出会いを通して、再び人生の輝きを見出すまでを描く「4分間のピアニスト」。
見つめ合い、ぶつかり合って、深い傷を乗り越えて行く2人。
ようやく辿りついたラストコンサート。
自由をつかむために彼女に取り残された演奏時間はたったの4分間だった…。

ドイツが、そして世界が絶賛!
囚われた天才ピアニストに、残された人生を賭ける女性教師。
2つの魂の美しき共鳴から生まれた衝撃の感動作

フライヤーより。
前日になっていきなり上映時間が変わって、映画館に着いた時間はもうすでに上映して30分近く経っていた。
上映が次々回なので(次は他の映画が上映)もう諦めて入っちゃおうかな…と思ったけど、先に買い物済ませようと諦めて次々回のチケットを買いました。
良かった…というのも


まだ公開中につき隠し。

芸術しか愛せない気難しい老教師とピアノでしか自分を表現できない少女が主人公なため、ほとんどセリフがなくて彼女たちの心情や心の機微を感じようと思うとどうしてもスクリーンに目が釘付けになってしまう。しかも場面も数日前の過去、現在、戦争中、現在、戦前などころころ変わるので、油断なく話についていかなければならない。否が応でも映画にべったりはまりきらなければならなくて、上手だなぁと感心してしまった。ある意味すごく不親切な映画でもある。かといってストーリー展開が目まぐるしいわけではないので(それどころかどちらかというとベタ)、ついて行けたけど、これ最初の30分捨てても、パンフで内容見たらあっさり納得できるけど、見て本当に良かったと思った。全体的に漂う窮屈感や灰色の重たい雰囲気をきちんと堪能できたからこそ、ラストの感動にたどりつけた感じがする。
絶望を背負ったまま全てを諦めて生きている老女教師と自分の葛藤と渇望をどこに向けたらよいのかわからない少女の深い絶望の静かなぶつかり合いとラストの衝撃の4分間。信頼していた女教師の衝撃の過去と誰よりも憎んだ義父のおかげでステージに立てる屈辱に彼女の叫びは全て演奏に託された。本能のままに思いはピアノ本体、鍵盤、弦に叩きつけられた…。


そういや雑誌の取材で記者がほんの少しの時間を頼むのに「4分間」と提示していたけど、ドイツ人にとって何か4分間というのは意味があるのかな?日本だったら5分間っていいそうだけど…あとなんとなくアメリカ人だと2.3分と言いそう。


あと印象的だった天才に嫉妬して嫌がらせしてしまう同室の女性達や看守。所詮凡人なんだな…これが天才と凡人の違いなんだとも思った。*1っていうか女教師もピアノを独占させたり、つきっきりで教えたりして彼女の天才に魅せられて周りが見えなくなってしまっているのも一因なのだろう。だからと言って暴力をふるっていいわけではないけど。

*1:看守の場合被害者なので嫉妬だけではないけど。