ハゲタカ

やられた…本当にやられた。
この数日間全く日記を書けなかったのは、この感想がなかなか書けなかったから。頭の中では単語が渦を巻いているのに、いざ出そうと思ったらなかなか文章としてアウトプット出来ない。なんかねぇ…感情が溢れかえってしまったせいで出口から上手く出てくれない感じ。
ので適当にだらだら書いて行こう←ある意味いつもどおり…orz


重厚で骨太なドラマでした。
演出とかも凝っていて特に光の使い方に拘っていたなぁ…役者陣も渋くて素敵。
40過ぎても熱くてどんな納得できないことでも真摯にしようとする芝野が柴田恭兵ってぴったり過ぎる。どうすることも出来ない燻り感の演技にしわが寄っていてこの人もいい塩梅に歳とったよなぁ。特に株主総会で大木社長の遺書を読み上げるのがこの人で良かった。大概この年齢のオジサマ達って声が低くてぼそぼそしゃべりが多いのけど、恭兵さんは滑舌がしっかりして少し声が高めなので、しっかり本文聞こえたし、菅原文太さんの渋くかすれた声と相まって凄い相乗効果上げていたよ。
もう時代のカリスマ社長が文太さんて辺りで卑怯だよなぁ…西野が言うとおり茶番でしかない株主総会(だって何の具体的案を提示することなくただ待てってどんなんだよ。)なのに凄い説得力。もう雰囲気とその場のノリだけで納得しちゃう。
というのも日本が戦後の復興で国民総生産を20年で10倍に伸ばしたことは、実は世界的に見てとんでもなく稀なことで人類史上初と言っても過言ではないということを恥ずかしながらつい最近知りました。米ソの冷戦時代にも関わらず軍需関係に全く手を染めずに、ただ技術、モノ作りだけで敗戦国だった日本が経済大国となった。*1これって自分が思っていた以上に凄いことで、「技術立国ニッポン」その一角を担っていた大空電気の誇りでもあるんだろうなぁ…だからこそ大木社長の言葉が響いたんだろう。それで、レンズ磨き40年この人がいなきゃ大空電気を乗っ取る意味がない程の職人が言った「いつから伝統はやぶられなければならなくなったんだ…?」「お金なんて所詮紙切れじゃないか…」
の言葉は本当に心臓を素手で掴まれたようにぎゅっときました。その後に続いた鷲津さんの「世の中の99.9%は金できまる。金でほとんどのことは解決する。だけど残りの0.1%、こればっかりはそうもいかない。…(略)あなたも大空電気全体から見れば部品一個だ、0.1%です。だけどその0.1%がときにはすべてを変えることができる。どういう使われかたをされるのか?そのことによって紙切れ自体の価値がかわる。」も良かったけどね。某タレント女医の「世の中の99%のものは金で買える」という言葉が本当に薄っぺらく感じるほど。
お金が人を変えるのではなくて人が金を変えるんだよなぁ…所詮お金は道具なのだ。
大森南朋さんは今回初めて知ったけど(多分知らない間にドラマかなんかで見たと思うが)なんつうか本人自身が柔らかい風貌しているのもあるんだろうけど、非情に徹することが出来ない弱さが出ていてイイ!でもきちんと非常に徹する場面はスパッと切れそうな冷たい視線で素敵でした。まだ35歳なんだ…てっきり40前後だと思っていた。
松田兄も狂気と排他性を孕んだイっちゃった瞳はもう寒気がしたよ。←この人こういう役やらせたら凄いよなぁ
ああこの中でモノ凄く惜しい感じがするのが紅一点のヒロイン三島由香役の栗山タン…凛とした雰囲気で素敵なんだけど、周りが濃いためにヒロインなのに影が薄く感じる…数少ない女性共演陣の富士眞奈美が強烈だったからなぁ…会社を私物化して傾けさせた女社長という役なのに1本筋が通った迫力は流石でした。


まだ銀行員だった芝野が「借りた物を返さない方が悪い」みたいなこと言っていたのには鼻で笑ったけどな。銀行なんてその貸し渋りをした人達から絞り取った税金で立て直した分際のくせに…しかもそれを一切返していないんだぜ。


しかし…正月早々見たドラマがこれと相棒スペシャルですぜ。相棒は後半しか見てませんが、単なる特番かと思えばいろんな伏線が絡んだ話しらしくて何故最初から見てないんだ自分は…と思いっきり嘆いたよ。
どうしよう、これから新連ドララッシュなのに、なんか他のドラマがちゃちく見えそうで不安…。

*1:なんかこの辺り、レンズ事業部を軍需関連会社が欲しがっていると言うのが、その事を暗喩しているみたいで面白かったです。