パルシネマ2本立て

歴史モノ2本立てみるぞ〜♪的な気分で見に行ったので、少し意外だった。


ノーカントリー (07 米)

ノー○○と続くと次に「ノーライフ」と繋げたくなってしまう(本当にどうでもいいよね)

異様なまでに生真面目な殺し屋と時代に取り残された保安官―
ふたりの男に追われる男の可笑しいほど残酷な運命…

アメリカの荒涼たる西部、テキサスの町でひとりの男が麻薬密売にからんだ大金を発見し持ち去ることで、
その危険な金を巡り謎の殺し屋や警察が動き出す。
追う者と追われる者。彼らの行く先々には無数の死体が転がり、荒野は血の海に染まる―。

謎の殺し屋シュガー(ハビエル・バルデム)が淡々と人を追ってまるで虫でも殺すかのように人殺していく様が怖かったです。自分の体も犠牲にして、ただ黙々と金を盗んだ仲間達とその家族を追って行く…本当にただそれだけのストーリー。
そんな殺し屋を見てタイトルは彼のことを示しているのかと思っていたら、原題が「NO COUNTRY FOR OLD MEN」だったんだね…。老保安官ベル(トミー・リー・ジョーンズ)のことだったんだ。ラストで彼が昔とは全く違った自分には理解できないレベルの事件が多過ぎて時代についていけないことを嘆いて、辞職しようとする。急激な時代の移り変わり、当たり前のようにあったモノの喪失、自分の居場所を探すかのようにさ迷い歩くもの…
ちゃんと邦題にも「フォーオールドメン」くらい付けようよと思ったけど、コレを殺し屋にも当てはめようとしたのだろうか…?


ヒトラーの贋札 (07 独・墺)

ナチス・ドイツから紙幣贋造を強制されたユダヤ系技術者たち。
自分の命か、それとも家族を、仲間を守るのか。
正義をかけた闘いが始まる。


第二次世界大戦中のドイツ、ザクセンハウゼン強制収容所
そこに各地の収容所から送られてきたのは、世界的贋作師・サリー、印刷技師・ブルガー、美校生のコーリャなどユダヤ系の技術者たち。
彼らに課せられた使命は「完璧な贋ポンド札」を作ること。
収容所内には秘密の工場があり、ナチス・ドイツはそこでポンド札の大量贋造を行い、イギリスへ経済打撃を加えることを狙っていたのだ。
サリーたちの命をかけた贋札作りは成功しつつあった。
しかし、それはナチスに資金を与え、戦況を有利にし、収容所にいる家族や恋人を苦しめ続ける事を意味する。
自分の命か、正義を全うするか。
彼らは葛藤し、苦悩する。
そんな中、なかなか完成しないことにしびれを切らしたナチス親衛隊の将校から期日までに完成出来ない場合、見せしめに5人を銃殺すると通告される。


贋札で敵国の経済を破たんさせようとする発想が凄くて、その歴史的ノンフィクション部分が楽しみで見に行ったけど、思ったより人間関係やそれぞれの思惑など群像劇が描かれていたあたり、ドラマチックでエンタメ性に富んだ作品になったなという感じ。
しかし、解放された時に贋札班は他の強制労働されていたユダヤ人たちによく暴行されなかったものだよなぁ…だって待遇があまりにも違っていて、俺たちはこんなに苦労したのにって恨まれても仕方なかったと思うよ。


ラスト(と言うか冒頭)にカジノで偽札を散財するも、何一つ満たされず途方に暮れるサリーとそのシーンの美しさが切なかった。